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『神の雫』原作者が語るピーロートワイン Vol.2
様々なシーンで活躍、気軽に飲めるピーロート・ブルー

ナーエのほとりのワイナリーで生まれた
デザインが美しいブルーボトルのドイツワイン



ピーロート家は17世紀以来、ドイツ西部のナーエ川沿いで葡萄を栽培し、ワインを造ってきた。
そこはナーエ川がライン川と合流する地域で、複雑な土壌から良質な葡萄が育ち、甘美なワインが生まれる。青色のボトルもまた魅力のひとつだ。かつて地域毎にガラスを製造していた頃、材料となるナーエ流域の砂がコバルトを多く含んでいたために特徴的な青色が生まれた。
その伝統的なブルーグラスを現代によみがえらせたものである。
今回は、人気ワイン漫画『神の雫』の原作者、樹林ゆう子氏と樹林伸氏にピーロート・ブルーの等級違い、カビネットとアウスレーゼの2本を試飲してもらい、その魅力について語ってもらった。



アルコール度数が低く、上品でソフトな甘さのカビネット

ピーロート:まずは、 ピーロート・ブルーカビネットをどうぞ。

樹林ゆう子氏:『神の雫』では、フランスワインが一番登場するけれど、ドイツも歴史あるワイン産地で、掘り出し物がたくさんあります。なかでも一番生産量の多いリースリングは、高品質なものが多いですよね。

樹林伸氏:僕、学生時代に雪山のペンションでアルバイトしてたんですが、そこがドイツワインを扱っていまして、仕事が終わった後に、残ったボトルのワインを飲ませてもらったりしてました(笑)。その時に初めて格付けを覚えたりして、ドイツワインには今でも思い入れがあります。

ゆう子氏:ドイツワインの場合、収穫時における葡萄の糖度で等級が決まるんですよね。完成品であるワインの残糖度ではなく、原料である葡萄の段階で、というのが独特で面白い。

伸氏:ドイツワインは日常的に飲むテーブルワインを一番下にして、ざっくり3つのカテゴリーに分かれている。で、もっとも上級が『肩書き付き上級酒』というカテゴリー。ここはドイツワインのフラッグシップだから制約も厳しく、補糖、つまりワインに砂糖を添加することも許されていない。

ゆう子氏:カビネットもそのひとつよね。つまりこのワインの甘さは完全に葡萄由来の自然な甘さということね。

伸氏:そうそう。で、カビネットというのはその制約の厳しい最上級クラスの中のひとつの『肩書』になる。特徴としてはアルコール度数が低めで、糖度もそれほど高くない。だから、飲み口が爽やかで、スイスイ飲める。

ゆう子氏:リンゴ酸による爽やかな酸味と軽い甘味とのハーモニーが、なんとも居心地がいいですね。アルコール度も高くもないから、安心して飲める(笑)

ピーロート:はい、アルコール度数は8%です。

伸氏:香りは柑橘、洋梨、白百合とか林檎のニュアンスがあるなあ。実に穏やかな香りだ。葡萄品種はなんですか?

ピーロート:シルヴァーナ、ミュラー=トゥルガウ、ケルナーのブレンドです。

伸氏:なるほど、この柑橘っぽい感じはシルヴァーナからくるんだね、たぶん。

ゆう子氏:ミュラー・トゥルガウは、確かドイツではかなり広範囲で栽培されている葡萄ですよね。飲み口の爽やかさ、フレッシュさはこの葡萄の個性ですね。




気を使わなくてよい、タンポポのような存在

ゆう子氏:ちなみに『神の雫』風にいうと、このワインはどんなイメージかしらね。疲れてるときにふわっと気持ちが和む感じとか、ひっかからず気楽に飲める感じとか。

伸氏:そうだね、例えていうならタンポポみたいな感じかな。日常的な当たり前な光景の中にあって、決して強い主張をするわけではかいけど、その存在によっていつのまにか心がふんわりと和む……そんなワインだね、これは。

ゆう子氏:癒し系ね。仕事が終わった後、自分を褒めてあげつつ一人でグラスワインを飲む、なんてシーンにも合いそう。スクリューキャップだから開封後の保存も簡単だし、ひとり飲みに向いている。

伸氏:癒し系という意味では、仕事が終わったあとでもいいけど、休日の昼間にリゾートのプールサイドで飲む……なんていうシーンでもいいね。アルコール度数が控えめだから、身体に残らないし、ビールを飲むよりイケてる。ボトルもおしゃれで綺麗だから、海と空の青さとか、プールの水に反射する太陽の光にもよく似合う。映(ば)えるよね。



甘味と酸味で構成された料理に合うカビネット

ゆう子氏:料理に合わせるとしたら?軽い甘味なのでなんでも合いそうだけど。

伸氏:マリアージュの方法としては、ワインの香りに料理を寄せるのが一番わかりやすいよね。

ゆう子氏:それなら、例えばこの柑橘の香りに寄せて、オレンジと胡桃とチーズを入れたサラダなんてのもいいかも。

伸氏:それと、酸味と甘味で構成された料理とかだったらバッチリ合うんじゃない?例えば酢豚とかさ。

ゆう子氏:それはいいアイディア。その方向性でいくと、和食なら甘酢を使った根菜料理とか、白身魚の南蛮漬けとかもいいかもしれない。

伸氏:和食との相性は絶対いいよ、これ。和食って、みりんとかよく使うし、煮物とかでもほんのり甘い。カビネットの控えめな甘さなら、野菜の煮物や、なんなら肉じゃがとかも合わせられるかも。

ゆう子氏:ドイツワインって全部が超絶甘いと思ってる人が多いけど、甘味にもいろいろな段階や、個性があるって知ってほしいよね。

伸氏:そうだね。カビネットの甘さは食事にも合わせやすいし、格付け的には高級ワインなのに値段は意外とリーズナブルだし、普段飲みにはもってこいだよ。

ピーロート・ブルー カビネット (2020)



アウスレーゼとカレーは止まらなくなる相性のよさ

ピーロート:では次に、アウスレーゼをどうぞ。

ゆう子氏:アウスレーゼは、やはり『肩書つき上級酒』の中のひとつですよね。カビネットより、収穫された時の葡萄の糖度は高い。通常の収穫期より一週間以上、遅摘みされた完熟葡萄を使うことがワイン法で定められているんですよね。

伸氏:ただ、収穫された葡萄の段階での糖度は高くても、糖分を完全醗酵させた形で辛口ワインも作られているので、全部が甘口とは限らない。そういうスタイルもドイツワインならではですね。

ゆう子氏:とはいえアウスレーゼはやっぱり甘口が中心になりますよね。このワインもそうだけど。

伸氏:カビネットよりしっかりした甘口で、濃度も高い。ただ甘すぎないし重心も重くないので、食前酒はもちろんのこと、食中酒にしても全然いけると思うな。

ゆう子氏:そうね。一段階、糖度が高いベーレンアウスレーゼや、さらに上のトロッケンベーレンアウスレーゼは、完全に貴腐化された干し葡萄状態の実から作られるので、密度の高い極甘口になる。これはやはり食後にデザートワインとして飲みたい。

伸氏:このワインの品種はリースリングですよね。そういえば僕、ドイツの有名な生産者と食事会をしたことがあるんですが、彼の出すワインは、前菜からデザートまですべてリースリングなんです。
それを等級別に揃えて、実に巧みに料理に合わせてくる。最初は辛口気味のキュベと前菜を合わせてみて、食中ではカビネットをしばらく飲んで、後半はアウスレーゼが出てきました。
リースリング一種類でこんなにも食事のバリエーションをカバーできるのかと、驚かされました。

ゆう子氏:アウスレーゼ、意外といろんな料理に合うと思う。以前「神の雫」のコラムでカレーうどんにワインを合わせる実験をやったんですが、その時に一番合ったのが、やや甘口のリースリングでした。その後、自宅で辛口のキーマカレーを作ってみて、やや甘口のアルザスのリースリングを合わせてみたんですが、これがビックリするほど相性がいい。
ワインの甘味がキーマカレーの辛さをほどよく緩和してくれ、飲んで食べて……の繰り返しが止まらなくなりました(笑)。

伸氏:カレーとリースリングは相性がいいというのは、よくいわれる話だよね。それと、フランス人がよくやってるのが、甘口ワインとブルーチーズを合わせて飲むやり方。

ゆう子氏:あれは最高だよね。甘口にゴルゴンゾーラとかロックフォールと合わせる。ちょっと蜂蜜を垂らしても美味しいし。

伸氏:ブルーチーズの塩気が、ワインの甘味を引き立ててくれて、甘味と塩味、ミネラルを交互に楽しんでいるうちに、グラスがいつのまにか空になっていくという……(笑)。癖になる旨さだ。

ゆう子氏:あと、リースリングには林檎のニュアンスがあるから、林檎を薄くスライスして、チーズを挟んでも合いそう。

伸氏:確かに。そういえば以前、カジュアルなドイツレストランで林檎とチーズと豚肉の料理をアウスレーゼと合わせて食べたことがある。あれもよかったな。

ゆう子氏:フランクフルトをカレー味で炒めて、キャベツの酢漬けを添える……なんてのもイケそうな気がする。

伸氏:おお、それもアリだね。自宅がドイツレストランになったような、楽しいマリアージュだ。



パーティルームへの扉のようなアウスレーゼ

ゆう子氏:ところで、このアウスレーゼのイメージはどう?カビネットよりやや甘味が深くて、複雑さもあるので、同じ『肩書つき上級酒』でも印象がかなり違う。

伸氏:そうだね。甘味と同じくらい酸味もあって食欲をそそるせいかな、パーティの始まり感があると思う。人々が集まり出して音楽が聞こえてきて、あちこちで挨拶したり、会話が聞こえてきたり、そんな期待に胸がふくらむ時間……。

ゆう子氏:そうね。パーティの待合時間で久しぶりに会った友人と笑いあったり、グラス片手に小さなオードブルを頂いたり。そしていよいよ始まりの時間になり、パーティルームの大きな扉が開く……。

伸氏:扉からシャンデリアの光が差し込んできて、楽しい時間がいよいよ始まる──そう、このワインのイメージは『パーティルームへの扉』だよ。

ゆう子氏:扉が開いて、「お待たせしました」の声とともに、パーティが始まる……本当にそんなワインだね、これは。

伸氏:うん。そう考えると、このアウスレーゼ、プレ・パーティの待ち時間にウェルカム・ドリンクとしてふるまったりするのにもピッタリだね。

ゆう子氏:ウェルカム・アウスレーゼ!なんかシャンパーニュよりお洒落かも。



ピーロート・ブルー アウスレーゼ (2020)

Profile 亜樹直(あぎただし)
漫画原作者。姉弟の共同ペンネーム。「モーニング」誌上にて『サイコドクター』『サイコドクター・楷恭介』『神の雫』『怪盗ルヴァン』執筆後、2015年『マリアージュ〜神の雫 最終章〜』連載開始。2008年、グルマン世界料理本大賞の最高位「Hall of Fame」を日本人として初めて受賞。2010年、フランス農事功労賞シュヴァリエ受勲。そのほか受賞多数。



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