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『神の雫』原作者が語るピーロートワイン Vol.3
優雅、気品、風格、贅沢……世界各地でテロワールの特徴を生かし、王道ワインを造り続ける、エドモン・ド・ロートシルト。

5本の矢の家紋で知られる名門、ロートシルト家。
今回はその名門の遺伝子を受け継ぐワイン3本に挑む。
人気ワイン漫画『神の雫』の原作者、亜樹直こと樹林ゆう子氏と樹林伸氏が、エドモン・ド・ロートシルト社が造るニュージーランドのリマペレ2019、アルゼンチンのアグアリベイ2019、ボルドーのシャトー・クラーク2013を試飲。
産地やヴィンテージ、葡萄品種や味の特徴が異なる3つのワインに対し、これまでのワイン体験に基づいて正直な感想を述べてもらった。

レモングラスの香りとしっかりした果実味でバランスの良いワイン

ピーロート:ロートシルト家が手がける3本を用意しました。今回はロートシルト一族のうち、エドモン・ド・ロートシルト社が造るワインで、ニュージーランドのリマペレ、アルゼンチンのアグアリベイ、フランスはボルドーのシャトー・クラークを順番に試飲していただきます。まずは、ソーヴィニヨン・ブランのリマペレをどうぞ。

樹林伸氏: ニュージーランドってソーヴィニヨン・ブランが最初にブレークしたんだよね。80年代にマールボロ地区のソーヴィニヨン・ブランが国際コンクールで入賞して、一気に知名度をあげたんだ。
樹林ゆう子氏:そのあとでピノ・ノワールが登場して、ニュージーの人気ワインになっていったわけよね。でもやっぱりニュージーといえばソーヴィニヨン・ブランかな。全耕作面積の 60%を占めているという話だし……。

伸氏:まさにソーヴィニヨン・ブラン王国だね。このワインはニュージーのソーヴィニヨン・ブランを世界的に有名にしたマールボロ地区で造られている。おいしくないわけがない。

ゆう子氏:私も訪問したことがあるけれど、マールボロ地区は空気も爽やかで湿気が少ない。晴天率が高く、朝晩の寒暖差が激しくて、ワイン造りにとても向いている産地よね。

伸氏:このワイン、ミネラリティは軽やかだけど、果実味がしっかりしている。バランスが良い。白い花とかアーモンドとか、そしてレモンを感じるな。

ゆう子氏:レモングラスのノートを強く感じるね。イメージはやはり草原。地平線まで続く大草原には草を食む羊もいて、爽やかな風が吹き抜ける……自然の豊かな国らしいワインだね。

フランスの名門にふさわしい余韻の長さ

伸氏:ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランらしく、トロピカルフルーツのニュアンスもある。ハーブ系の香りもあるから、合わせる料理の選択肢は多そう。

ゆう子氏:白身魚にハーブを添えたものとか、和食なら焼き魚にスダチをしぼった一品でも合いそう。トマトとバジルのブルスケッタの前菜にも絶対合う。

伸氏:だね。白身魚のカルパッチョとかも良さそう。レモンを絞った生の岩牡蠣と合わせてみたい。

ゆう子氏:カキに限らず、貝類全般いけそうよね。ホタテのバターソテーとか。ともかく食事との相性がよさそうなワインですね。ちなみにお値段はいくらですか?

ピーロート:5,100円(税抜)です。

ゆう子氏:上品な酒質で、香りも華やかだから、そのくらいの値段も納得できますね。

ピーロート:ソーヴィニヨン・ブラン世界コンクール2020で銀賞も受賞しております。

伸氏:それは素晴らしい。それとこのワインは余韻が長く残るのもいいですね。僕らがフランスワインを好きな理由のひとつは、華やかな香りと、口中に残る長い余韻です。そういう意味でこのワインも、フランスの名門ロートシルト家の遺伝子を受け継いでる感じがしますね。
'19 リマペレ ソーヴィニヨン・ブラン

突出して優雅、涼やかでビロードのようなマルベック


ピーロート:次はアルゼンチンのアグアリベイ。マルベック100%のワインです。

ゆう子氏:これもロートシルト家の5本の矢が刻まれていますね。

伸氏:アルゼンチンのワインらしく色は濃厚だけど、ビロードのように滑らかだね。

ゆう子氏:突出して優雅な酒質ですね。さすがはロートシルト家。

伸氏:ざらざらした感触がなくて、口当たりが実にいい。するっと飲めてしまうね。

ゆう子氏:タンニンが丸いので、滑らかなのかも。マルベックで有名なカオールと比べると違いがわかりますね。カオールのマルベックはブラックワインと呼ばれるほど濃くて、タンニンはやや荒めで、ガツンと強いボディがあり、なにしろ飲み応えがある。熟成させると滑らかで複雑なワインになるけど、若いうちは飲むのにパワーがいる。このワインは、それとは逆の方向を向いている感じ。

伸氏:優雅さがあるよね。テロワールの影響もあるのかな。このワイナリーの畑は標高1,100メートルらしいから、葡萄が過熟しないし、きれいな酸味が生まれるのかも。

ゆう子氏:そんなに標高が高いんだ! 確かにアルゼンチンは世界的に見ても標高が高い畑が多いというのを聞いたことがある。

伸氏:そう。このワインの産地の吟醸地メンドーサは、朝晩の寒暖差も激しくて、15度も違うことがあるらしい。そういう場所だから、暑さの影響で果実味が豊かになる一方、寒さの影響で酸味もしっかり乗る。酸味と果実味、どちらもしっかりあることが、旨いワインの条件だからね。

素材を生かした料理によく合う

ゆう子氏:合わせる料理はどんなものがいいかな。アルゼンチンといえば、やっぱり定番の牛肉料理になるのかな。

伸氏:飲み口が滑らかで優雅だから、肉でなくてもいい。脂ののったマグロのステーキとかでも合いそう。ウニのパスタとかでも面白いよ。

ゆう子氏:技巧をこらしたフレンチとかより、素材を生かした料理に合いそうね。

伸氏:そうだね。素直な味わいのワインだし、岩塩と黒胡椒を振って焼いただけの赤身の肉とか、シンプルな料理の方がいいマリアージュになりそうだな。

ゆう子氏:ちなみにお値段は?

ピーロート:希望小売価格3,700円(税抜)です。

ゆう子氏:ワイン全般が値上がりしているこのご時世に、それはリーズナブル!

伸氏:デイリーに飲みたくなっちゃうね。
'19 アグアリベイ

奥ゆかしさを感じさせる気品

ピーロート:最後はフランスのボルドー。シャトー・クラークです。

伸氏:ボルドーのリストラック・メドック……あまり日本では流通していない穴場的な産地ですね。

ピーロート:リストラックとはフランス語で「周辺」を意味する言葉で、マルゴーの南西、ムーリスの北に位置する産地になります。値段は5,610円(税抜)です。

ゆう子氏:ロートシルト家のフランスワインで、その値段はお買い得ですね。

伸氏:飲んだ感じはかなり高級感がある。気品が備わってるね。

ゆう子氏:2013年は、確かボルドーは厳しいヴィンテージでしたよね。酸味が強かったり渋かったりするワインが少なくないけど、これはバランスがいいですね。プラムのような果実味と腐葉土、なめし革のような香りがあって、タンニンはとても細やか。このタンニンのきめ細かさが、品の良さを醸し出しているんですね。

伸氏:メルロー中心のワインだけど、樽由来のバニラも感じないし、リッチな果実味が全面に出る感じではない。抑制が効いていて、奥ゆかしさを感じる作りだ。

ゆう子氏:タンニンはカベルネ・ソーヴィニヨン30%から来てると思うけど、ストラクチャーがあって、しっかり完熟した葡萄が使われてる感じ。収穫のタイミングもよかったのね。

伸氏:実はこれ2013年だけど、バックビンテージではなくて、最新のビンテージらしい。※ ここのシャトーはエイジングさせてからマーケットに出すんだね。ワインの飲み頃を考えているのだろうけど、面白い試みだ。飲む人の立場に立ってのことなのかな。

ゆう子氏:ある程度熟成させ、ベストの状態で飲んでもらいたい、ということね。素晴らしい。
※:2013年が日本における最新ヴィンテージです。

変化が楽しめるグラン・ヴァンの存在感

伸氏:おっ、最初にグラスに注いだ時から、だんだん印象が変わってきて、こなれてきているね。これがフランスの高品質ワインのいいところ。徐々に変化をしていくから、一皿一皿ゆっくり時間をかけて食べる料理にも耐えられるんだよね。

ゆう子氏:複雑さもしっかり備わってるね。最近のフランス料理って一皿にいろんなものが乗っているから、合わせるワインに複雑さが求められる。片方が単純だと、バランスが取りにくい。

伸氏:シンプルな赤ワインと複雑な料理だと、ワインがその料理の一部になっちゃうよね。

ゆう子氏:料理とワインと、どちらも複雑さがあれば、ペアリングによる相乗効果が得られる。

伸氏:さっきのマルベックもなめらかなタンニンがあっていいけど、シャトー・ クラークは音楽の抑揚を味わうように、変化を楽しむワインだな。

ゆう子氏:確かに、奥にあったミネラルがだんだん出てきた。ぐいぐい変化してるね。

伸氏:さっきの2つのワインと比べると、コースの最後に出してもよさそう。凝ったソースを使ったメイン料理にも寄り添える、グラン・ヴァンの存在感があるね。

ベテランの女性シャンソン歌手のように

伸氏::時間とともに、地層の深い部分からのニュアンスが出てきた気がするね。

ゆう子氏:確かに、海底だったころの要素が出てきた。不思議だね。時間が経つとテロ
ワールの表面からどんどん下がって、大昔の一番下の地層の性質が出てくる。このワインを表現するとしたら、なんだろうね。

伸氏:変化を味わうという意味では、やはり音楽かな……。でもクラシックではない気がする。格式張った感じはまったくない。伝統的だけど、人間的で、癒しが感じられる音楽。

ゆう子氏:それならシャンソンかな。どこか憂いがあって、心にしみ入るシャンソンのあの響きは、このワインに似ている気がする。

伸氏:確かにね。人生の機微を知り尽くしたベテランのシャンソン歌手が、心から絞りだすように歌いあげるサン・トワ・マミー……そんなイメージかな。

ゆう子氏:最後まで飲む人をちゃんと楽しませてくれるのも、ベテラン歌手ならではだね。
'13 シャトー・クラーク

贅沢さを味わせてくれるワイン3本

ゆう子氏:今回の3本は全体的に上品ですね。さすがワインの王様。

伸氏:ロートシルト家はテロワールの良さを生かした、王道ワインを造ってるよね。

ゆう子氏:荒れた畑を買い取って何十年もかけて改良するには、もちろん時間もお金もかかる、気の長い仕事です。このシャトー・クラークだって、1973年にロートシルト家が買い取って5年かけて葡萄を植え替えてる。

伸氏:それができるのは、フランスを代表するロートシルト家ならでは。いいワインを作るには、いい畑がまずありきだということを、彼等は誰よりも理解している。

ゆう子氏:そう。やっぱりワインって、時間とお金と労力を注いで作った贅沢品なんですよね。そう思いながら飲むと、なんか気分もアガりますよね。

伸氏:だね。みなさん、ワインとともに贅沢な時間をうんと楽しみましょう!

Profile 亜樹直(あぎ ただし)
漫画原作者。姉弟の共同ペンネーム。「モーニング」誌上にて『サイコドクター』『サイコドクター・楷恭介』『神の雫』『怪盗ルヴァン』執筆後、2015年『マリアージュ〜神の雫 最終章〜』連載開始。2008年、グルマン世界料理本大賞の最高位「Hall of Fame」を日本人として初めて受賞。2010年、フランス農事功労賞シュヴァリエ受勲。そのほか受賞多数。